職人インタビュー 造形家 山本高樹

和ふう この駄菓子屋を作ろうと思ったきっかけはなんですか?
ジオラマ作家 山本高樹氏 やはり小さい頃の思い出の中で強く残っているものですから。
駄菓子屋で茶封筒に入った怪獣ブロマイドのクジや、長い糸引くと先にイチゴのあめがついているようなやつ。当たりは大きいあめだったり。
当時は他に行けるお店がなかったですからねえ。
店番のおばちゃんは怖かったし・・・ジオラマではやさしい顔つきにしましたけど。
本当は怖かったです。
和ふう この駄菓子屋の制作でこだわった点はどういうところですか?
ジオラマ作家 山本高樹氏 まず幅30cm×奥行き20cmという大きさの中にいろいろな容器に入った駄菓子やクジなど、当時の懐かしいと思えるものをぎっしりと詰め込んでいるので、その凝縮した密度を見ていただきたい。
照明も発光ダイオードを使い、光があたる位置も計算しています。
  情景模型 ジオラマ 昭和

和ふう 山本さんは作品の一部に既製品のミニチュアを使わないことが
ポリシーとのことですが?
ジオラマ作家 山本高樹氏 駄菓子屋の菓子、ビン、くじ、凧などすべてを手作りしてます。
既製品を入れた方が、もちろん作業は楽なんですが、どうも嫌なんですよ。せっかくなら完全にしたいですから。
和ふう ひとつの作品を作る場合の期間はどれぐらいですか?
ジオラマ作家 山本高樹氏 モノやそのときのスケジュールによって違いますのけど、例えばこの駄菓子屋だと3ヶ月ぐらい。
でも忙しいときだと6ヶ月ぐらいかかる場合もあります。
和ふう ニフティ動画でやられているような動画映像にしても作品にストーリーがありますが、この発想はどこから出てくるのですか?
ジオラマ作家 山本高樹氏 ヂオラマを作っていくうちに、そこにふさわしい登場人物やそのドラマが自然と浮かんできます。
動画サイトのお話はあって無いようなもんですけど、それをシナリオ化してみました。
 
和ふう どうしてジオラマ作りを始めたのですか?
ジオラマ作家 山本高樹氏 もともとは駄菓子屋で怪獣ブロマイドを買うのが楽しみだった普通の子供が、そのまま大人になって映像美術の世界に入って、やっていくうちに、だんだんクライアントの制約の中で黙々とミニチュアを作っていく作業というものが嫌になってきたわけです。
自由にやりたいという欲求が高まってきて。
それで、20代後半から仕事をしながら週末の休みになると2泊3日ぐらいでいろいろな地方の民家の写真を撮りに行ってました。
それで撮ってるうちにこういう風景を作ってみたいなあ・・と。
和ふう なぜ地方の民家を撮りたいと?
ジオラマ作家 山本高樹氏 実はそもそも、地方を回り始めたきっかけは、超合金フィギュアのコレクションに凝ってまして。
それを集める目的で地方に出かけ始めたんです。(笑)
その頃に偶然「民家巡礼」という本を読んで、日本の原風景に強烈に惹かれたんですね。
後から思うと、東京のスタジオでCMなど、最先端の技術、特撮に関わりながら、
休日は安宿に泊まって最果ての民家を訪ね歩くという対極の行動は、知らず知らずに自分の中で何かバランスを取ってたのかもしれないです。
和ふう ではその本との出会いが人生を変えたわけですね?
ジオラマ作家 山本高樹氏 まさにそうです。
ただ、最初は「東京にないものが地方に残っている」と思いこんでいたのですが、何年か
して、東京にもいろいろなものが残っていることに気づきましたね。
和ふう それからは東京探索が中心ですか?
ジオラマ作家 山本高樹氏 やはり距離的に近いし、それに本当にいろいろなところにそういう建物や風情が少しずつですが、
残っていますから、結構それを見て回るだけでも時間は相当かかりました。
 
和ふう 地方のひなびた宿というと、つげ義春さんのイメージがありますが?
ジオラマ作家 山本高樹氏 あります、あります。最初は民家の撮影だけが目的でしたが、つげさんを読んでから、ついでに秘湯に行くのも目的に加わりました。(笑)
和ふう 地方の居酒屋さんとかも行きました?
ジオラマ作家 山本高樹氏 行きましたねえ。それも楽しみのひとつでしたから。
和ふう ジオラマを作って、出来上がりは自分で眺めてボーっとしたりしますか?
ジオラマ作家 山本高樹氏 ある程度形ができてきたときは、ワクワクしながら眺めますね。
でも、そこから最後の追い込みに入るとまたこれがしんどい。
まだ、あそこもやらなきゃ、ここもまだまだかかる、というのが実感してくると楽しむどころではなくなります。
 


和ふう 山本さんにとってのジオラマの世界観というのはどういうものですか?
ジオラマ作家 山本高樹氏 僕のジオラマは現実の建物、風景の正確な再現ではないんです。
いろんな風景を見た後、ジオラマを作ろうと思ったもののすぐには作れなくて、いろいろ悩んでて、そんな時に滝田ゆうさんのイラストを見て、デフォルメしながらもちゃんとその風情を伝えることができるんだ・・って表現方法に気が付いた。
そこからですね、イメージがきちんと湧くようになってきたのは。
世界観というか、自分が駄菓子屋なら駄菓子屋の世界に入りたい気分になるし、見る人にもそういう気持ちになってもらえればと思います。
和ふう 駄菓子屋ではお姉さんが弟をおんぶしていますが、こういう人物の創造は何か意識してるのですか?
ジオラマ作家 山本高樹氏 いや、それは特にないです。なんとなくですね。
ほら、最近姉が弟をおんぶする姿なんて見ないでしょう。
今はもうない風景なんですが、当時はいろんな写真集を見ると当たり前なんです。
そういう今はない情景を意図的に入れていくということが、伝えたい風情をかもし出す演出としている部分ではあります。
まあ、本当になんとなくですが。
 
和ふう 人物も変化していくのですか?
ジオラマ作家 山本高樹氏 例えば最近の作品(夢町楽天地など)では、親子が登場します。
これは僕自身に子供ができてからのことですね。生まれる前まではなかった人物像です。
やはり自分を取り巻く変化によって人物やストーリーも変わっていきます。
和ふう 箱庭療法ってありますが、ジオラマとの関係はありそうですか?
ジオラマ作家 山本高樹氏 興味はありますよ。さすがに専門ではないので詳しくわかりませんが、できれば一度そういう専門の方にジオラマを見ていただいて感想を教えてほしいぐらいです。
和ふう 日本人は昔から箱庭的なものに長けているところがありますね
ジオラマ作家 山本高樹氏 日本は島国で日本庭園、盆栽という独特の文化があります。イギリスもドールハウスといった文化がありますよね。
何か土地の小さい島国だからこそ、生まれた独特の文化かもしれません。
資源が少ないからこそ、モノを何かに見立てる力が優れているような気がします。
落語もそうですし・・・。
うちの子供も小さい頃はおもちゃがなくても、ただのスプーンとかを列車かなんかに見立てて遊んだりしてますからね。
そういうモノを見立てる能力はイマジネーションを育てるためには大切なんじゃないかと思います。
和ふう 趣味の本質というのはやはり「無駄こそ最大の贅沢」ということでしょうか。さて、今後の制作予定は?
ジオラマ作家 山本高樹氏 今準備しているのは、浅草ロックです。当時の浅草を表現したいなあと思っています。
また、しばらく制作漬けなります。(笑)
 
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